TPdfDocument クラス。
これは何?
前回の成果を簡単なクラスにまとめて、Delphi的にCreateしてLoadFromFileで読み込み的なやつです。読み込んでExportAsImageで画像化するシンプルなクラスになってます。
使い方
デフォルト設定で使う場合はめちゃくちゃシンプルです。
uses ..., PdfDoc; // <-今回作成したユニット var pdf: TPdfDocument; begin pdf := TPdfDocument.Create; try pdf.LoadFromFile('C:\Sample\Sample.pdf', procedure begin pdf[0].ExportAsImage('C:\Sample\Sample_page1.png'); end); fianlly pdf.Free; end; end;
以上のコードでPDFを読み込んで1ページ目をPNGファイルとして保存します。
LoadFromFileで無名メソッドを指定してますが、WinRTのファイル読み込みは非同期なのでLoadFromFile直後ではまだロードが終わっていない可能性があり、読み込み完了通知用のコールバックを指定する必要があります。また、ExportAsImageでのファイル保存も非同期なので、上記コードでは省略していますが同じようにコールバックを書いて保存終了通知を受け取ることができます。
ExportAsImageメソッドは省略されたオプションやオーバーロードがいくつかあり、正式には以下のようになっています。
procedure ExportAsImage(Adapter: IStream; FileType: TExportFileType = eftPng; DestWidth: UInt32 = 0; DestHeight: UInt32 = 0; CompleteProc: TProc = nil); overload; procedure ExportAsImage(Stream: TStream; FileType: TExportFileType = eftPng; DestWidth: UInt32 = 0; DestHeight: UInt32 = 0; CompleteProc: TProc = nil); overload; procedure ExportAsImage(const FileName: string; FileType: TExportFileType = eftPng; DestWidth: UInt32 = 0; DestHeight: UInt32 = 0; CompleteProc: TProc = nil); overload;
1つ目の引数は保存先の指定です。3つのオーバーロード中、StreamやFileNameは特に解説せずともよくあるストリームとファイルへの書き出しなので分かると思いますが、IStreamへの書き出しは単にStreamとFileNameのメソッドで内部的に使用するものです。privateにしても良かったんですが、IStreamを直接指定できた方が楽な場合もあるので一応。
2つ目のFileTypeですが、指定するとエクスポートする画像の形式を指定できます。デフォルトではPNG形式ですが、BMPやJPEGなど他の形式も指定可能です。
3つ目と4つ目のDestWidthとDestHeightは出力画像サイズになります。0を指定するとページの縦横サイズがそのまま使用されます。両方指定するとそのサイズに拡大縮小され、どちらか一方だけ指定するともう片方のサイズはアスペクト比を考慮して自動的に計算されます。例えば横:縦=3:2のPDFの場合、DestWidthに600を指定してDestHeightはデフォルトのまま(=0)にすると、DestHeightは自動的に400が指定されます。
CompleteProcは完了通知を受け取ります。TPdfDocument.OnExportCompleteイベントでも受け取れますが、両方指定した場合はこのCompleteProcが優先されます(LoadFromFileのCompleteProcとOnLoadCompleteイベントも同じ仕様です)。
なお、上記のコードはパスさえ通せばユニットをインストールせずとも使えますが、TPdfDocumentはTComponentを継承する非ビジュアルコンポーネントにもなっているので、インストールしてフォーム上にTPdfDocumentを貼り付けることで、IDE上でOnLoadCompleteやOnExportCompleteイベントをセットするような使い方も可能です。
ダウンロード
この中に入っているPdfDoc.pasが今回追加したユニットです。他のラッパーユニットと同じようにパスの通ったところに置くか、そのフォルダ自体をパスに追加して使ってください。サンプルの方はProject1.dprがDirect2Dを使った前回のサンプルで、Project2.dprがPdfDoc.pasを使った簡易PDFビューア的なサンプルになります。動作環境はOS側はWindows 10、Delphi側はWinRTが入手できるバージョン(後期のXEシリーズや10.x系)であれば動くと思います。サンプルコード内ではVCLを使ってますが、PdfDocユニット自体は特にVCL依存は無いので、FMXでも吐き出したTStreamを(FMXの)TBitmapクラスに食べさせれば画像を取得できるはず。
あとライセンスを書くのを忘れてましたが、Boost Software License 1.0です。